
世界で唯一
「TAKEYARI」にしか作れない最高峰の強度を持つ、極厚倉敷帆布
仲間が偶然出会ったという岡山倉敷の帆布生地の織元。その名を「株式会社タケヤリ」という。造船の町であった岡山では、帆布の生産も盛んだったそうだ。その土地で130年の歴史を持つ帆布織元が「株式会社タケヤリ」だ。極厚から薄手帆布まで豊富な種類を織っている日本で唯一の機屋だという。
兎にも角にも現地へ行くが信条の菊田参号。もちろん岡山へ。デニムでお世話になっている「株式会社ショーワ」のほど近くに「株式会社タケヤリ」はあった。出迎えてくれたのは小野氏。愛すべきキャラの小野氏に生地のこと、工場のことをご教授いただく。
写真の織機を見ていただくとたくさんの埃が付いている汚れた機械のように見えると思う。しかしこれはあえてそうしているのだという。逆に掃除をしてしまうと生地の仕上がりが悪くなるというから不思議だ。
“育てる帆布”
という極厚の帆布がタケヤリ帆布の売りだ。帆布の中でも最も厚い、2号帆布を見せていただいたのだが、その厚さ、硬さはとんでもなく、力士が二人で引っ張っても破れることは無いそうだ。これだけの帆布を織る技術はタケヤリならでは。使い始めは硬い帆布も使う程にやわらかく馴染んでいくのだそうだ。まさにSANGOU向きの生地であるのだ。
先述のもっとも厚いタケヤリ2号帆布。その生地余地は番手が一つ下がるのだが、タケヤリ3号帆布という生地に惹かれた。そう、単純にその生地の名前である。SANGOUと3号。これは、もちろん3号帆布で何か作りたい!と、当然のようにその流れ。
この丈夫な記事で、やはりバッグを作ろうということになり企画開始。面白味としてやはりSANGOU × 3号ということ。生地を見つけてくれた仲間のアイデアで
「SANGOU × 3号だから、三々九度というのはどう?」
というアイデアが飛び出した。それは面白い、ということになったのだが、名前だけではコンセプト的に少し物足りない。三々九度に絡めるのであれば、もう少し意味がないといけない、そう考えた菊田参号は、もう少し三々九度を掘り下げてみることにした。三三九度とは神前挙式で行われる儀式のひとつで式次第の中では「三献の儀」と称されている。新郎新婦が盃を交わすことに契りを結ぶという意味がある神聖な儀式だ。三段に重ねられた盃を上から順番にひとつの盃で交互に三回、合計九回いただく作法だったことから三三九度と言われるようになったそう。 これは陰陽説では3、5、7、9といった奇数が縁起のいい数字とされていることに由来しているという。お酒を注ぐときもお銚子を3度傾け3度目で盃に注ぎ、飲むときにも1、2度目は口をつけるだけで3度目に飲むのというのが一般的な作法。



その中で「三つの盃」というのが菊田参号の中でキーワードとなった。大盃、中盃、小盃。三々九度に必ず用いられる盃。ここに着目し、大中小を一つで兼ねる3WAYのバックが作れないかと考えた。まずは型紙で試作を重ねる。あーだこーだと色々やってみるうちに、使い勝手の良いトートバッグで行こうということになった。通常のサイズが中。一番使い勝手の良いA4がすっぽり入って財布携帯等の日用品が入るくらいの大きさ。マチを折りたためることで、いざという時に大サイズに拡張が可能、というギミックをつけて大サイズ。小は取り外せるバックインバック。小のみでも簡単な財布携帯タバコなどを収納できるようなサイズ感の試作まではたどり着いた。しかしそこからが大変だった。単純に生地が分厚すぎて縫ってくれる工場が見つからなかった。タケヤリ帆布は「まるで織られたレザー」という異名をとるほどに硬く分厚い。やっと見つけた仕立屋さんでサンプルが上がってきたときは、そのクオリティに感動を覚えたほどだ。タケヤリの小野氏もその仕上がりには「よくこんな綺麗に縫えましたね!」と驚いていた。
三々九度トートの他に、菊田参号が欲しいと思ったのが「ズタ袋」。このタケヤリ3号でこそ本物のズタ袋と言える強度なのではないかと、自信を持って提供できる仕上がりになったと思っている。一生使えるバッグ。是非お手に取っていただきたい。