農業×アパレル
田舎へ着て行くべき、リラックス感のある服の提案

 小石氏との出会いは、氏の前職であるレザーブランド「ISAMU KATAYAMA BACKLASH」に勤めておられる時だった。とある店舗の立ち上げに関わる機会があったのだがその際に、アパレル業のど素人出会った菊田参号にたくさんのことを教えていただいた人物。その店舗の取扱ブランドにその「ISAMU KATAYAMA BACKLASH」があり、その担当として小石さんに面倒を見ていただいていた、というのが始まり。残念ながら力及ばず、その店舗はうまくいかなかったのだが、それ以降も大変よくしていただいている。
ISAMU KATAYAMA BACKLASH」に出会って菊田参号の人生は大きく変わった。それまではグラフィックデザイナーとしてモノづくりに携わっていたが、そこに意味を感じられなくなってしまったのだ。BACKLASHのモノづくりや考え方、スタイルやこだわりに触れるにつれ、自分のやっていることが「本当にこんなことをしていていいのか、これは本当にやりたいことなのだろうか」と大きな疑問を抱くようになった。そんなある日、以前の記事にも書いているが「革ジャンのように着るほどに味がでるようなTシャツを作りたい!」ということを思い立ち、SANGOUはスタートするのだ。冠衣を作る際には、小石氏にも相談させていただいた。先述の通りアパレルど素人の菊田参号にとっては大変ありがたい指摘やアドバイスをいただき、非常に感謝している。
Kibitsumiそんな小石氏がBACKLASHを辞めて、自分でブランドを立ち上げるという話を聞いた時には大変に驚いた。「辞める」ということももちろん驚いたのだが、一番驚いたのはその内容。どんなブランドを立ち上げるのかと聞くと「農業 × アパレル」をコンセプトにしたブランドだという。どういうことなのか、最初はピンとこなかったが、小石氏の言葉を聞くにつれその想いの熱さもさることながら、一番に感じたのは「あったかい優しさ」であった。
自身も地元である長野県に住まい米農家をやりながら、18年という長きに渡るアパレル業界での経験を生かし、「農業 × アパレル」というコンセプトを成立させるということなのだ。そこには地元の産業を盛り上げたいという思いや、「誰かのために」という強い決意を感じた。

小石氏のブランドは、その名を「キビツミ」という。キビとは「機微 : 表面では知ることのできない微妙なおもむきや事情」であり、ツミとは「(人為的に)摘み取る、積み上げる、罪と認める」ということを合わせた名前とのこと。「動植物の「KIBI」を感じ、意思を持って「TSUMI」を行う。」というなんとも美しい名前からは、先述の通り氏の「優しさ」がにじみ出ているように感じる。

「田舎へ着て行くべき、
リラックス感のある服で、
オールシーズン着られる服がキビツミの服。」

KibitsumiKibitsumiキビツミのラインナップには、アパレルだけでなく、氏が丹精を込めて作った「お米」もある。新米を食べさせていただいたのだが、しっかりとした歯応えのある非常に美味しいお米だった。お米を焙煎して作ったコーヒーというのも非常に美味しかった。
そんなキビツミの立ち上げのタイミングでSANGOUに声をかけていただいたこと、コラボが実現したことは非常に感謝している。単純にキビツミのコンセプトとSANGOUのコンセプトに「親和性がある」と感じていただけたのが、一番の喜びである。自分のやっているモノづくりは間違ってはいないのだな、と実感できた瞬間であった。
今回のコラボでは、SANGOUの冠衣をキビツミが「米炭染め」をしている。SANGOUでは初となる「炭染め」。深黒とも藍ともまた違う表情。その仕上がりはまさにチャコールグレー。まさに炭の色出会った。淡く繊細で美しい炭染めの冠衣。冠衣に新たな表情が誕生した。
襟下には「キビツミ」のネームが、袖口にはキビツミロゴマークであるお米ロゴのピスネームが入っていることで、その雰囲気をより素敵なものにしている。
「伊勢木綿」で作った「冠衣」が「炭染め」に出会った。なんとも日本らしい、職人の手が幾重にも折り重なっている一着。ぜひ「動植物の「KIBI」を感じ、意思を持って「TSUMI」を行う。」ということを感じてみてほしい。

Kibitsumi
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